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この時、疲弊した国家に代わって社会・経済を支えたのが、世界的な規模をもつ大企業群、多国籍企業であった。そして、企業のもつ資本・資源を引き出させるべく、各国は企業側に巨大な特権を与えた。その一つ「企業自衛法」により企業は対テロ等の自衛力を保有することとなる。後の「企業警察隊」の始まりである。 |
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企業群の功績は単に経済の分野だけに留まらない。企業の研究機関で開発された「重水素系エネルギーシステム」はオイルパワーを終焉に導いたし、軌道上に建設されたステーション・コロニーは人類に新たなフロンティアを与えた。そして、国連に代わって組織された「地球補完連合」により、かつて誰一人成し得なかった「世界国家」の成立さえ可能になろうとしていた。 しかし、軌道上を中心とする企業群への依存度が高まるにつれ、これを管理・制御せんとする「地球補完連合」と、拡大・独立を求める軌道企業群とは、その溝を深めていくこととなる。 |
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一方地球は、軌道戦争で使用された大型光学・隕石兵器(メタル・ハンマー)により、甚大なダメージをこうむっていた。主要な大都市は壊滅、陽の光は届かず、文字どおり「黄昏(たそがれ)の時代」を迎える。 |
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そして、その中心となったのが「運び屋」と呼ばれる者達。世間からはみ出した、一癖も二癖もある連中であった……。 |
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西暦2519年、火星で発見された異星文明の遺跡をめぐり、コクーンを構成する六大軌道企業の間で激しい争奪戦が勃発。これが後に「ビッグ・ウォー」と呼ばれる戦いである。かろうじて内部分裂だけはまぬがれたものの、全コクーンとしての物的・人的損害は甚大であり、地球を圧倒した力は過去のものとなった──。 そして…時は現在、ところは地球 タクラマカン砂漠 その中央部を貫くは物資輸送専用道路 通称「シルクロード・ハイウェイ」 物語はここから始まる |
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